カナダで働き暮らすには?|永住権と就労ビザの違い・申請の流れをわかりやすく紹介

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カナダ移住ビザの取得は、永住権か就労ビザかによって手続きも条件も大きく異なります。本記事では、カナダ移住を目指す人に向けて、永住権・就労ビザの種類や取得条件、手続きの流れを体系的に解説します。自分に合ったビザの選び方を理解し、後悔のない移住計画を立てるための完全ガイドです。

カナダ移住とビザ制度の全体像

カナダで長期滞在や移住を実現するには、目的に合わせたビザの取得が不可欠です。カナダ政府は、労働力の確保や人口バランスの維持を目的に、永住権や就労ビザを中心とした多様な制度を設けています。

永住権(Permanent Residence)は、長期間カナダに定住し、社会保障や教育などの公的サービスを利用できる権利を指します。一方の就労ビザ(Work Permit)は、一定期間の労働を目的とした一時的な滞在許可であり、将来的な永住申請のステップとして活用されることもあります。

まずは制度の全体像を把握することで、自身の目的に合ったビザや移住ルートを明確にできます。永住を前提とするのか、一時的な就労から始めるのかによって、準備内容や手続きの流れは大きく異なります。

次のセクションでは、カナダの主要なビザ制度の種類と特徴を詳しく解説します。

カナダのビザの種類と特徴

カナダのビザ制度は、目的や滞在期間に応じて多様に設計されています。移住を前提とした永住権をはじめ、就労・留学・ワーキングホリデーなど、ライフプランに合わせた選択が重要です。ここでは主要なビザの種類と、それぞれの特徴・取得のポイントを整理します。

永住権(Permanent Residence)とは

永住権は、カナダで無期限に生活・就労できる法的地位を意味します。取得者は公的医療保険や教育制度などの社会サービスを利用でき、市民権申請への道も開かれます。
取得には、エクスプレスエントリーや州ノミネーションプログラムなどを通じ、スキル・学歴・職歴・語学力などの総合スコアで選考されるのが一般的です。
ただし、永住権保持者には「過去5年間のうち2年以上カナダに居住する」義務があり、この要件を満たさない場合は資格を失う可能性があります。

就労ビザ(Work Permit)とは

就労ビザは、一定期間カナダで働くための一時的な許可証です。多くの場合、カナダの雇用主からジョブオファーを受け、労働市場影響評価(LMIA)の承認を得る必要があります。
LMIAは、外国人の雇用がカナダ人の雇用機会に影響を与えないかを確認する手続きで、雇用主による申請が前提です。国際協定や特定職種に基づき、LMIAが免除されるケースもあります。
滞在期間は原則1〜3年で、条件を満たせば更新や永住申請への切り替えも可能です。

その他の関連ビザ(学生・ワーキングホリデーなど)

永住や就労を視野に入れ、段階的に移住を進めたい人には、学生ビザやワーキングホリデービザも有効です。学生ビザでは、カナダの教育機関で学びながら、卒業後に就労ビザ(PGWP)を取得するルートが人気です。
一方、ワーキングホリデーは18〜30歳の日本人を対象とし、1年間の就労や滞在を柔軟に経験できる制度です。この制度をきっかけに、将来的な永住を目指す人も増えています。

これらの制度を理解しておくことで、自身のキャリアやライフステージに合わせた移住計画を立てやすくなります。

カナダ永住権の取得ルートと手続き

カナダ永住権の取得方法はいくつかあり、個人のスキルや目的に応じて最適なルートを選ぶことが大切です。ここでは代表的な制度と申請の流れをわかりやすく解説します。

エクスプレスエントリー(Express Entry)制度

エクスプレスエントリーは、スキルドワーカーを対象とした主要な永住権申請ルートです。申請者は年齢・学歴・職歴・語学力などをもとにCRS(総合ランキングシステム)でスコア化され、一定点数を超えると招待(ITA)が発行され、正式申請に進みます。
審査期間はおおむね6か月前後と比較的短く、専門職経験や語学スコアが高い人ほど有利です。申請時にはIELTSまたはCELPIPの語学試験結果、職歴証明、資格評価(ECA)などの提出が求められます。

州ノミネーションプログラム(PNP)

州ノミネーションプログラムは、各州が地域経済に必要な人材を独自に選抜する制度です。特定の職種や地域に定住する意思を示すことで、永住申請の際に優先的に選ばれる場合があります。
PNPの特徴は、地方都市や農村部など人口の少ない地域では選考基準が緩和されやすい点です。対象職種や条件は州ごとに異なるため、事前の情報収集が欠かせません。
また、エクスプレスエントリーと組み合わせて申請することで、追加ポイントを獲得し、永住取得を有利に進めることも可能です。

ファミリークラス・ビジネス・スタートアップビザ

家族を通じた永住申請には、カナダ市民または永住者の配偶者、子ども、親などをスポンサーとする「ファミリークラス」があります。手続きは比較的安定しており、審査期間も明確です。
一方、起業家や投資家向けには「スタートアップビザ」や「ビジネス移民プログラム」が用意されています。これらでは、革新的なビジネス提案や一定の投資額が求められます。
審査基準は厳しいものの、承認されれば家族全員が永住権を取得できる点が大きな魅力です。

複数の制度を比較し、自身のキャリア、語学力、家族構成に最も適したルートを選ぶことが、永住成功への近道となります。

カナダ就労ビザの種類と申請方法

カナダで働くには、目的に応じた就労ビザ(Work Permit)の取得が必要です。ビザの種類によって申請条件や有効期間が異なるため、制度を正確に理解して準備を進めることが重要です。

LMIA(労働市場影響評価)ありの就労ビザ

LMIAありの就労ビザは、雇用主がカナダ政府に対して「外国人の採用が国内労働市場に悪影響を及ぼさない」と証明する手続きが前提となります。
申請の流れは、まず雇用主がLMIAを申請し、承認後に応募者がビザを申請する形式です。審査では、賃金水準や職種の妥当性、採用過程の公平性などが重視されます。
LMIA取得には一定の時間と費用がかかるため、雇用主の理解と協力が欠かせません。また、このタイプのビザは特定の雇用主に限定されるため、転職や勤務先変更の際には新たな申請が必要になります。

LMIA免除タイプの就労ビザ

LMIA免除ビザは、国際協定や特定職種に基づき、労働市場影響評価を経ずに発行される制度です。代表例として、日加間の「包括的経済連携協定(CPTPP)」や「企業内転勤ビザ(ICT)」が挙げられます。
また、大学教授・研究者・専門技術職なども対象となる場合があります。免除条件を満たすことで手続きが簡略化され、比較的短期間で許可が下りるケースも少なくありません。
特に日本人にとっては、ワーキングホリデー後の延長や企業派遣などの形で活用しやすい制度といえます。

就労経験から永住権へつなぐ方法(CECなど)

カナダでの就労経験を永住申請に活かせる制度として「カナディアン・エクスペリエンス・クラス(CEC)」があります。CECは、カナダで1年以上のフルタイム就労経験を持つ外国人が対象で、エクスプレスエントリー経由で永住申請が可能です。
この制度の特徴は、カナダでの実務経験・生活基盤・語学力が高く評価される点にあります。留学生が卒業後に就労ビザを取得し、永住を目指す場合にも一般的なルートです。

就労ビザをうまく活用することで、カナダでのキャリア形成と永住への道を同時に切り開くことができます。

永住権と就労ビザの比較|条件・期間・費用の違い

カナダ移住を検討する際、多くの人が悩むのが「永住権」と「就労ビザ」のどちらを選ぶべきかという点です。ここでは、目的・条件・期間・費用の4つの観点から両者の違いを整理します。

まず目的の違いとして、永住権は長期的な定住と生活の安定を目的としています。一方、就労ビザは一定期間の労働を前提とした一時的な滞在許可です。
永住権を取得すれば、職種や雇用主に制限がなく、社会保障や教育制度をカナダ市民とほぼ同等に利用できます。対して、就労ビザには雇用主や滞在期間の制約があり、更新や再申請が必要になることもあります。

条件面では、永住権は年齢・学歴・職歴・語学力などを総合的に評価するスコア制度が採用されています。就労ビザは主にジョブオファーの有無と、雇用主がLMIAを取得しているかどうかが重要なポイントです。
スキルや英語力に自信がある人は永住ルートを、まず現地で働きながら経験を積みたい人は就労ビザルートを選ぶのが現実的です。

期間の目安として、永住権の審査にはおおむね6か月〜1年ほどかかりますが、就労ビザは数週間から数か月で発行されることが多いです。
費用面では、永住申請が総額で20〜30万円前後、就労ビザは雇用主のLMIA申請費用を含めて10〜20万円程度が一般的とされています(2025年時点の相場目安)。

このように、どちらを選ぶかは目的とライフプランによって大きく異なります。短期間の就労を希望する場合は就労ビザを、長期的に生活基盤を築きたい場合は永住権を目指すのが最適です。

日本人が注意すべき申請ポイント

カナダのビザ申請では、英語力や書類準備など、日本人に特有の課題がいくつかあります。ここでは、申請時に特に注意すべき3つのポイントを整理します。

英語・フランス語スコアの要件と対策

カナダの永住権や就労ビザの申請では、英語(IELTSまたはCELPIP)またはフランス語(TEF Canada)のスコア提出が求められます。
永住権のエクスプレスエントリーでは、一般的にIELTSでCLB7(各項目6.0前後)が最低基準です。スコアが高いほどCRS(総合スコアシステム)で有利になるため、早めの学習と対策が重要です。
日本人の場合、特にリスニングとスピーキングのスコアが伸びにくい傾向があるため、模擬試験やオンライン英会話を活用し、実践的な練習を重ねることが効果的です。

学歴・職歴証明の準備手順(ECAなど)

学歴を証明するためには「教育資格評価(ECA)」が必要です。これはWESやIQASなどの指定機関が、日本の学歴をカナダ基準で評価する制度です。
大学の卒業証明書や成績証明書を英語に翻訳し、認証付きで提出する必要があります。
また、職歴証明では勤務先からレター(在職証明書)を取得し、職務内容・雇用期間・給与などを明記します。内容が不十分だとスコアが反映されない場合があるため、企業に依頼する際はフォーマットを明確に伝えることが大切です。
これらの書類は準備に時間がかかることが多いため、申請準備の初期段階から着手するのが理想です。

家族帯同や子ども連れ移住時の留意点

家族で移住する場合、配偶者や子どもにもそれぞれ適切なビザが必要です。配偶者は条件を満たせばオープンワークパーミット(雇用主の制限がない就労許可)を取得でき、子どもは就学許可または同伴ビザで学校に通うことが可能です。
カナダの公立学校は、地域によっては永住者と同様に無料で通える場合もあります。必要書類は子どもの年齢や居住地によって異なり、医療保険や予防接種記録の提出を求められることもあります。
事前に自治体や教育委員会のルールを確認しておくと、スムーズに手続きを進められます。

これらの準備を怠ると、審査の遅延や申請の却下につながるおそれがあります。丁寧な書類管理と早期の準備が、申請成功の大きな鍵です。

2025年最新|制度変更・審査傾向と今後の見通し

2025年のカナダ移民制度は、労働力不足と地方定住促進を背景に、より柔軟で実務経験を重視する方向へと進化しています。ここでは、最新の制度改正と今後の見通しを整理します。

まず注目すべきは、エクスプレスエントリー制度の改定です。2024年後半から職種別カテゴリー選抜(Category-based Selection)が拡大され、特定スキルを持つ申請者が優先的に招待されるようになりました。
特にIT、医療、建設、製造業などの分野では、従来よりも低いスコアでも永住申請が認められるケースが増加しています。
さらに、語学要件も緩和されつつあり、地方移住プログラム(RNIP)やアトランティック移民プログラム(AIP)では、CLB5〜6程度でも申請可能な枠が広がっています。

一方で、審査の厳格化が進む部分もあります。虚偽申告や不完全な書類提出に対しては、審査期間の延長や再申請の指示が増加しており、申請の透明性と正確性がより重視される傾向です。
特に就労ビザでは、ジョブオファーの信頼性確認が強化され、LMIAの審査期間が平均で1〜2か月長くなっています。

今後の見通しとして、カナダ政府は年間の移民受け入れ数をさらに拡大する方針を示しています。2025年の移民計画では、約50万人の新規永住者受け入れを目標としており、特に若年層や専門職の誘致に重点が置かれています。
つまり、語学力と実務経験をしっかり積み上げることで、日本人にとってもチャンスが広がる時期といえます。今のうちに資格評価やスコア対策を整え、次の制度変更に備えることが重要です。

よくある質問(FAQ)

カナダ移住やビザ申請に関して、特によく寄せられる質問をまとめました。実際に申請を検討する際の参考にしてください。

英語力が低くても永住権は取れる?

英語力が低くても、一定の条件を満たせば永住権を取得できる可能性があります。
たとえば、州ノミネーションプログラム(PNP)や地方移住プログラム(RNIP)では、CLB5〜6程度のスコアでも申請が認められる場合があります。
ただし、語学スコアが低いと総合評価(CRS)で不利になるため、学歴・職歴・配偶者ポイントなど他の要素で補うことが大切です。
長期的には、IELTSで各6.0以上を目指すことが安全ラインといえます。

配偶者ビザと就労ビザの併用は可能?

はい、条件を満たせば併用が可能です。
たとえば、主申請者が就労ビザを取得している場合、その配偶者はオープンワークパーミット(職種制限のない就労許可)を申請できます。
また、永住権申請中の配偶者も、一時的な就労許可を得ることで生活基盤を整えながら審査を待つことが可能です。
ただし、ビザの有効期限や更新タイミングが重なるため、事前に計画的なスケジュール管理が必要です。

ワーホリ後に永住申請するベストタイミングは?

ワーキングホリデー(WH)から永住を目指す場合、滞在中にカナダで1年以上の職歴を積むことが理想です。
その経験を基に「カナディアン・エクスペリエンス・クラス(CEC)」や「州ノミネーションプログラム(PNP)」への申請が可能になります。
また、ワーホリ終了前に雇用主からジョブオファーを得て、LMIA付き就労ビザに切り替える方法も有効です。
スムーズに移行するためには、滞在6か月目あたりから次のステップを準備しておくのがおすすめです。

これらのFAQを把握しておくことで、移住計画のリスクを減らし、効率的にビザ戦略を立てることができます。

まとめ|カナダ移住を成功させるためのビザ戦略

カナダ移住を実現するためには、永住権と就労ビザの制度を正しく理解し、自分の目的に合ったルートを選ぶことが何より重要です。
永住権は長期的な安定を得られる一方で、スコア基準や書類要件が厳しく、取得までに時間がかかります。
一方、就労ビザは比較的取得しやすく、現地でのキャリア形成を通じて永住への道を開く柔軟な選択肢といえます。

また、日本人の場合は語学スコアや資格評価、職歴証明の準備が課題になりやすいため、早期に対策を始めることが成功の鍵です。
2025年の制度改正で地方移住枠やスキル重視選考が拡大している今こそ、チャンスを逃さず行動することが重要です。

どのルートを選ぶ場合でも、「正確な情報収集」と「段階的な計画」が不可欠です。政府の公式サイトや専門エージェントを活用し、最新の申請条件を確認しながら進めましょう。

あなたのカナダ移住計画が着実に前進するように、本記事をビザ取得のためにお役立てください。

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